2019年8月17日土曜日

【酒と鉄のバラード】日本全国「酒鉄」ビール祭り・第1部

そもそも「馬鹿列車」はいい音楽を聴きつついい酒を飲みながら鉄道に乗ることが目的である。そこで今回はバカンスシーズン(昭和な表現だ)真っ只中の今、これまで車内で堪能してきた全国各地のおすすめ「この一本」をプレイバックしてみようと思う。
まずは車内でいただくには最も手軽な「ビール」編である。

★グランクラスの「プレミアム・モルツ」★@東北新幹線


まずは「清水の舞台から飛び降りる」決意で乗ったグランクラスでの一コマだ。
グランクラスで提供されるビールは「プレミアムモルツ」や「エビス」といったプレミアムビールだが銘柄は指定できない。今は販売が終了している「アサヒドライプレミアム」(「豊穣」ではない方)が提供されることもあったようで、その時々で銘柄は違うようだ。ただし乗車したのは2014年だったので今は違うかもしれない。
自分は車内や自宅に限らずこの写真のように缶からグラスに注ぐなどという気取った飲み方(いやこの方が正式だ。)は基本的にしないが、グランクラスのロゴの入ったガラスのコップでいただくモルツはやはり特別だった。航空機のファーストクラスに比べればまだどうにか手が届く贅沢だ。

続いてサントリーに抜かれ今や業界第4位に甘んじているが、数々の個性派ビールを提供している「サッポロ3部作」をご紹介。


★静岡限定ビール 静岡麦酒★@東海道線



まずは静岡県内でのみ発売されている「静岡麦酒」。サッポロビール静岡工場で醸造された静岡県内限定販売のご当地ビールだ。静岡県を列車で移動する際には必ず車窓のお供として愛飲している。
麦芽100%、やや酸味がきいたすっきり感の強い味わいは静岡県民の嗜好に合わせたとのこと。静岡県民への嗜好・イメージ調査をもとに試作品のアンケート調査も徹底して商品化したという、これぞ静岡による静岡のためのビール。
当然ながら東海道線車内で味わってみたいが、残念ながら新幹線で楽しむためには途中静岡県内の駅でいったん下車してゲットするしかない。
ただし限定販売とはいえ静岡県内ならコンビニでも手に入るので、東京からであれば熱海駅まで行けば購入可能。
東海道線普通列車のグリーン車で三島コロッケを肴にちょいと贅沢に楽しんでみたい。

★新潟限定ビイル 風味爽快ニシテ★@羽越線

キハ47の窓辺にギリギリのっている
よいこは真似をしないでいただきたい
少々名前が長いがこれが正式名称。こちらもサッポロビールの地域限定銘柄だが、サッポロは新潟地区に工場を持っていないので地元醸造というわけではない。ただし静岡麦酒と同様に、新潟県の食文化に合うように製品開発したとのこと。
ただし新潟といえば米どころだが、こちらも米は一切使用せず麦芽100%。静岡麦酒よりはホップの香りがより引き立つ感じ。
苦みも適度で味わいとしては北海道を代表する、というより日本を代表するご当地ビール、サッポロクラシックに近い。日本海縦貫線の車窓を楽しみながら味わいたい。

★サッポロクラシックシリーズ★@北海道内各線

宗谷本線の車窓をバックに「クラシック」の思い出をスナップ
ということで「サッポロクラシック」の登場だ。地域限定ビールのパイオニアといっても良い、今や全国ビール党憧れ(?)のローカル限定ビール。実は季節ごとに限定醸造品が登場しており、春にはグリーンのパッケージが特徴の「春の薫り」が、秋には富良野産のホップを使用した「サッポロクラシック 富良野VINTAGE」という商品が毎年季節限定で発売されている。今夏にはロイヤルブルーのデザインもさわやかなその名も「夏の爽快」という商品も新しく登場した。
ちなみにオリジナルの「サッポロクラシック」はここ数年、毎年夏の一時期のみJR東日本のコンビニ「NEWDAYS」の北海道フェアの一環で首都圏の各店でも入手できるようになった。自分もこの時期はわきめも触れず購入して列車に乗り込んでいる。ことしも8月初旬までの発売だったようだが、ちょっと客足の少ない店舗に行くとロング缶だけはフェア後も購入できた。北海道在住時は日頃使いのビールとして飽きるほど飲んでいたが、今思えばやはり深い味わいは簡単に飽きることがない。
「クラシック」といえば自分にとっては旅の車窓とは切っても切れない関係だ。たった一度だけ乗った「北斗星」の食堂車グランシャリオのパブタイムで飲んだ瓶入りのクラシックも、数えきれないほど乗った「スーパーカムイ」の車内で飲んだ350mm缶のクラシックの味わいも忘れられない旅の思い出になっている。 
2019年版「春の薫り」

★上越線ビール「C6120 PILSNER」「D51498 BLACK」★@高崎線

ピルスナーのC61 褐色に見えるのはボトルのラベルの色による

ブラックのD51 どちらもペットボトル入りという異色ビール
「上越線ビール」という「呑み鉄」をはじめ「鉄」をターゲットにしたあまりにもベタなネーミングのローカルクラフトビール。一瞬「こりゃキワモノかっ?」と思ってしまうが醸造元は地元群馬はみなかみ町のクラフトビールメーカーの雄「月夜野ビール」なので、その味わいはしっかり「本物」だ。ピルスナーはやや軽めながら「C61のスピード感を表現した切れのある味」とのことで、うーんなるほどわかったようなわからんような。。一方のブラックはそのものずばりD51の重厚感を表現した強めでコクのある味わいが特徴ということだが、コクの強さはスタウトとしてはスッキリしており上越線のD51というよりは八高線のC58レベルの軽快感だ。(ほんまか?)
ビールでは珍しいペットボトル入り(500mm)の商品が高崎駅構内の「NEWDAYS」など群馬県内のコンビニや土産物店で購入できる。

★伊豆の国ビール★@東海道新幹線


今回静岡ビール2度目の登場である。伊豆の国市にある観光施設を運営している「時之栖」という会社が製造しているいわゆる「地ビール」だが、もともと「御殿場高原ビール」を製造しているのも同じ会社だそうだ。
こちらの「伊豆の国ビール」は本格的なヨーロッパスタイルのビールにこだわっているそうで、原料もドイツなどヨーロッパ産のものを使用しているとのこと。このえんじ色の缶は「ピルスナー」だが、華やかな香りとともに軽快な飲み口でついグイグイいってしまいそうになる。実は先日の「馬鹿鉄旅」の際も結果的に「静岡麦酒」の350mm缶とチャンポンでグイグイいってしまった。
新幹線車内で「静岡ビール2大巨頭」揃い踏み
さて思い出の一杯の車窓を回顧していたらそろそろ今宵の一杯が恋しくなってきた。今夜の一曲はパット・メセニーの「Last Train Home」にすることにしよう。
ということで次回「地元ビール選手権」第2部に続く。