2020年7月16日木曜日

【馬鹿列車自粛シリーズ①】通勤電車座席孝その2

通勤電車の座席について物申す「自粛シリーズ」の続きである。

前回は東京メトロ7000系をボロクソに批判したが、この緊急事態のおかげで現実社会においては、件の中途半端な座席幅のおかげで7人がけを5〜6人で使うという適度なソーシャルディスタンスに貢献しているのを見て、世の中何が功を奏するか、わからないものだ。
それはいいとして、では今回は近郊型車両の座席を見ていく。

【JR東日本 E233系3000番代】

<とりあえず座席概論>

ご存知JR東日本の新系列主力車両だが、今回ここで取り上げるのは近郊型の3000番代である。基本編成10連にはロングシート4両 とセミクロスシート4両に加え2階建のグリーン車2両という構成になっている。付属編成5両はロング3両に対してセミクロス2両と、フルの15両編成の場合ロングシートの比率は約47%、グリーン車を除いても約58%と意外にロングシート の比率が少ない。普段利用しているとロングシートばかりのような印象を受けるが、そこそこ長距離移動を意識した構成になっている。




ただそうなると必然的にラッシュ時の混雑が懸念材料になってくる。そういうこともあってなのか結局横須賀線に投入されるE235系から普通車は全車ロングシートになるということだが、それはそれでいささかどうなんだ?と思わざるを得ない。ましてやこのアフターコロナの時代にあって、今まで通りのぎゅう詰め状態のラッシュがこの先もつづくのかもわからない状況だ。できればこの先もう一考願いたいところだ。


<コロナのおかげで窓が開けられるように>

ところで上の写真を見てわかるように普通車の側窓は一段下降式になっているので当然ながら窓を開けることができる。ただこれまでもうここ何年も四季を通じて鉄道車両の窓を開けるという場面に遭遇したことがなかったように思う。最近の車両はエアコンでどの季節でも温度管理をしているので、春先だから窓開けて外気を取り入れる、などということはほとんどない。ましてや満員電車で窓を開けるなんてなことはまずあり得なかった。
だいたい窓を開けようとすると車内からでは座っていれば一旦立たねばならず、かといって立っている乗客は座っている客の頭の上に手を伸ばさなければならず、そう簡単に開けられないのだ。

それがこの「感染症対策」のおかげで、どの列車も窓開けが基本になってきたので開閉できる窓のありがたみを痛感するようになった。この写真の列車は緊急事態宣言解除後のまだ乗客が少ない状況なのでほとんど回送状態だったが、思い切り窓を開放すると実に心地よい風が入ってきて、感染症は怖いが乗車している環境そのものは快適だった。


ただ座席とは関係ないが、いざこのE233系の一段下降式の窓を開けようとするとちょっとコツがいる。見ての通り横幅がかなりあり、中央部分にうまく力をかけないとググッと動いてくれない。いざトライしてもなかなか開かないということにもなりかねず、ますます乗客が多い時は気兼ねだ。実際にはJRに限らずどの車両でも停車中にホーム上の駅員が外から開けるというパターンが多いようだ。


片持ち式のロングシート 部  少々シート間の距離が近いのでこの時代にはちょっと気になる

 <座席の快適さは優秀>

さて話を座席に戻すと、この車両はロングシートも一人当たりの幅が460mmとそれまでの一般的な通勤車両よりも余裕がある上、シートそのものもクッションも適度に反発力があり長時間乗っていても快適だ。一方のセミクロス部分も同じ素材なので座り心地はかなり良い。

ただ残念なことにクロスシート席の窓際には物を置けるスペースがなく、ちょっとした飲み物すら置く場所がない。これでは観光利用にはやや不便だ。そういう人はグリーン車に行ってね、ということなのだろう。

普段から乗り慣れている車両だが、結論から行くと通勤電車としては良くできた座席だとあらためて思う。
最近JR東日本のアプリでは、コロナ以降通勤時間帯の過密状況を避ける目的で各路線の混雑度が時間帯別で見られるようになったが、やはり東海道線の川崎・品川間は在宅勤務が増えたと言っても、いまだにぎゅうぎゅう詰めの時間帯があるようだ。


とはいっても、やはりこれからテレワークだ何だといっている時代に、オールロングシート車がを10両以上も連ねて数十キロもの距離を走るという時代はそろそろ見直してもいいような気がする。もうそういう超過密ラッシュの時代は転換期にあるのではないか。

 【JR東日本 205系600番台】

そうなるとこの車両などまさに時代にあっていないこと、この上ないのかもしれない。東京を追われ追われて宇都宮線の直流区間最北限まで追いやられた205系の残党だが、いくら通勤通学時間帯は利用者が多いとはいえ、さすがにオールロングシートはないんじゃないか?と思わざるをえなない。
京葉線時代の先頭車形状を残す600番代 黒磯駅にて
まあ元々が107系という3ドアながらオールロングシートという車両からの更新ということなので、そういう点だけ見ればサービス改善なのかもしれないが、これまたこの先「コロナで在宅時代」にここまでロングシート にこだわる必要があるのだろうか。

さらにこの写真にある東日本ローカル線ロングシート スタンダードの「シマシマ優先席」をみると、「こんなに優先席ばっかり必要なの??」と突っ込みたくなる。なにしろ4:3で優先席の方が名実ともに「幅をきかせて」いるのだが、こうなるとなんだか優先席とはなんであるか、基本に立ち返って「座席哲学」に耽りたくなってくる。
とにかくお年寄りが利用する機会が最も多そうな昼前後の日中の時間帯はガラガラなのである。どうみても「ロングシート」である必要性は感じない。

ところでこんな「お下がり車両」だが、この時代ならでは最新設備がついている。座席とは直接関係ないが、それが次の写真だ。

パッと見ただけではよくわからないが、室内灯の蛍光灯ブランケットの左端が何やらちょっと怪しいことになっている。さらに拡大したのが次の写真だ。



本来蛍光灯の取り付けプラグがある部分にこの黒い窓状の物体が挟まっている。じつはこれ防犯用の監視カメラだ。本来の蛍光灯のブランケットを延長してこの小型カメラを設置しているのである。電源は蛍光灯用の配線からとっているということなのだろう。同じようなタイプはE 233系などの普通車にも使われているそうだ。
宇都宮線をご利用の皆さん、ぜーんぶ撮られてますぞ。

そういう自分も「監視カメラを撮影している変なやつ」として一定期間、映像が残っていたはずだ。実はこのカメラ各ドア部分に設置されているので結構な広角で乗客は撮影されているのだ。いくら防犯という名目があるとはいえ、流石にここまでやるのであればもっと撮っている側が「皆さんの行動はきちんと全部把握しちゃってますよ〜」ぐらいの表示はしておくべきではないだろうか。いいかどうかは別として。。
ここまで撮られているといくら善良な市民でもなんだか気持ちが悪い。図らずも頭の中でポリスのEveryBreathYouTakeが流れてしまうのである。

てなことで今回はシートから話が脱線したが、こんな地方路線でも監視カメラをつけるぐらいならもうちょっと座席の方にも力を注いでほしいものである、というのが今回の結論だ。
                                      了