2020年1月11日土曜日

【シリーズ妄想馬鹿列車②】新春初夢企画・北海道新幹線旭川延伸計画<その2>

北海道新幹線札幌開業まであと10年(実際には11年?)となった2020年の年明けを祝い、一気に新幹線を旭川まで延伸してしまおうという初夢企画の続きである。前回はフル規格で建設してみたが、今回は山形・秋田新幹線と同じ「新在直通方式」、いわゆるミニ新幹線方式で計画を進めてみよう。

<②ミニ新幹線方式で建設した場合>

冒頭からなんだが、そもそも「ミニ新幹線」とはどういうネーミングなんだろう?普通の新幹線車輌よりひと回り小さいからといって「ミニ」はないだろう。秋田新幹線の主役、E6系をみても、
TOKYO2020仕様のE6系
こんな鼻面の長いバカでかい車両のどこがミニなのか?と思わざるを得ない。その上新幹線としての性能を持った車両を強引に在来線でも走らせるようにするというのは、いささか経済的にはどうなのか?と思う。フェラーリが上高地の手前にあった「旧釜トンネル」を通過しようとしているようなもんじゃなかろうか?
話が脱線しまくりだ。

<この区間にミニ新幹線の意味はあるのか?>

まあそれはいいとして、それでは札幌・旭川間を新幹線規格の標準軌に改軌した場合を考えよう。
この場合、改軌しても線路の規格は在来線なので現状では最高速度は130kmに抑えられてしまう。これではせっかく膨大な投資をしても速達効果はほとんど見込めない。今だって最高速度は120kmなので10km程度早くしてもほとんど意味がない。そもそも最高速度130kmはかつての「スーパーホワイトアロー」でもう30年も前にすでに実現している。
現在の主力789系でもやろうと思えば130km運転は可能
その上、函館線の札幌・旭川間は高速貨物列車だけでなく根室線・石北線からの貨物列車が結構な本数で運転されている。これでは複線の一方のみを改軌することもできない。そもそも肝心の新在直通の新幹線の本数を考えても単線での運行は非現実的だ。苦肉の策として青函トンネルと同じ3線軌道にしようとすると、今度は冬季の積雪を考えれば絶対に不可能だ。こうなると予算以前の問題として、実現不可能ではないか。
北海道新幹線の3線軌道区間 冬の軌道管理は大変そう
ということでここでの結論は「ミニ新幹線」では絶対に無理。ということだ。ちゃんちゃん。
いやいや、それでは天下の「馬鹿鉄道」の名が廃る。ここは大胆な計画に方針を変えてみよう。それが今回最大のテーマである次の案だ。

<道内幹線鉄道標準軌改軌計画>

我ながらはっきり言ってもう無茶苦茶である。漢字も多すぎて中国語みたいだが、ただこの方法は意外にイケているのである。何をしようとしているかというと、旭川へのミニ新幹線整備にあわせて函館線をはじめ千歳線・室蘭線、さらには石勝線など貨物列車や在来線特急が走る路線を全て新幹線と同じ標準機にしてしまおうという案である。つまり新幹線と言うよりも、貨物列車ファーストの案だ。

この場合、貨物列車が走らない完全なローカル線、閑散路線は狭軌で残るが、ほとんどの路線は今でも拠点駅での乗り換えになっている。各線への影響は最低限で済む。ただしこう言う案が出ると、改軌しない路線は廃止問題がまた出てきてしまうかもしれないのがネックだ。
その問題を考えてもこうしてしまえば、全道の鉄道の高速化も図れる上に、北海道新幹線最大のボトルネックである青函トンネルもめでたく完全標準軌にしてしまえばいいので、新幹線ももう少々高速化が図れるだろう。その上、幹線が全て標準軌になれば新千歳空港や小樽、帯広、釧路までも「ミニ新幹線規格」(一部は気動車)の車両が直通するのだ。こうなるともう「旭川延伸」でも何でもなくなる。道央から道北を全て新幹線化する計画だ。いやー、よかったよかった。

といったところでそろそろ「おいおい、じゃあ貨物列車はどうするんだよ?」というお怒りの大合唱が聞こえてきそうだが、ここからが「馬鹿鉄道」の本領発揮である。
道内向けの列車に運用されるコンテナ車を「フリーゲージ」貨車にしてしまうというのはどうか?
コキ100系をフリーゲージ化したらどうか?
これまた「フリーゲージトレインは頓挫したでしょ?」という声がしそうだが、それは高速電車での話だ。動力のない貨車であれば構造的にははるかにハードルは低い。だいたい欧州で軌間可変台車が実用化されているのは主に動力車ではなくほとんどが客車(トレーラー)に採用されているからだ。
JR貨物のエースDF200が高速貨物列車を従えて旭川駅の高架を進む
現在最も速い貨車による貨物列車である「高速貨物列車A」でも最高速度は110kmだ。本州・北海道間の高速貨物列車の本州内の速度にもよるが、いずれにしても200kmを超えて走る動力台車に比べれば、重量物を運ぶ貨物車としての強度さえあればどうにかなりそうな気がする。それも貨物列車なら改軌作業にかかる時間的なロスもあまり問題にならないだろう。

函館線の赤井川駅を結構なスピードで通過するDF200が牽引する貨物列車

<では本当に道内を全部標準軌化できるか??>

さてここからが本題だが、そういう全道的な工事を山形新幹線や秋田新幹線のように短期間で実現できるのだろうか?この改軌工事を全道でやろうとすれば相当無理をして工期を短くしても3年から5年はかかるだろう。その間はおそらく鉄道輸送がほぼ止まってしまうのだ。結論から言えば、自分で言い出したにもかかわらずこれは全く非現実的と言わざるを得ない。計画予算的に見ても。どう考えても札幌・旭川間をフル規格で建設したほうが事業費も工事にかかる手間も圧倒的に抑えられるだろう。


<くだらない結論>

結論。旭川延伸はどうやってもフル規格でないと実現不可能ではないだろうか?

であれば、ぜひご検討いただきたい。何だ、それだけの話かと思うなかれ。地方創生がどうのこうのと言われているこの時代にあって、この程度の非現実的な構想があってもいのではないか?ただ、貨物列車のフリーゲージ化はぜひ現実論としてご検討いただけるとありがたいが。。

ということで新春一発目の最後の一曲はSWING OUT SISTERの"We Could Make It Happen"でスタートだ。

(了)