2019年11月27日水曜日

【観光馬鹿列車①】花嫁のれんの旅~前編

一人旅の場合、なかなか「イベント列車」に乗る機会は少ない。(と自分では思っている)その1番の理由はほとんどが週末・休日限定運行だったり、そもそも人気が高すぎてチケットが取れないことにある。それでも最近はネットから簡単に席が取れる観光列車が増えてきたおかげで、この頃は「たまには乗ってみるか」という気にさせられる。
ということで今回は「観光馬鹿列車第一弾」(運行している側にすればはなはだ失礼なネーミングだがこれは褒め言葉です)として、JR西日本が誇る観光列車のひとつ「花嫁のれん」に乗ってみることにした。この列車イベント列車としては珍しく、土日祝だけでなく季節によっては月曜日や金曜日にも運行している。その上1日2往復も走っているのだ。したがって平日を狙うとかなりの確率で簡単にチケットが購入できる点がありがたい。
そんなわけで10月の月曜日を狙って和倉温泉発「花嫁のれん2号」のチケットをゲットし、一路金沢を目指した。


東京駅で東海道新幹線と肩を並べる「はくたか」、出発前のスナップである。この日はJR東日本のF2編成が充当されていたが、ご存知の通り北陸新幹線の長野車両センターは10月12日の台風19号による千曲川氾濫によって車両と施設に甚大な被害を受けた。このF2編成もこのあと長野車両センターで被災している。結局他のE7系6編成とW7系3編成とともに廃車が決定したようだが、いま改めてこの映像を見ると何ともつらいものがある。

それはさておき、早速この日の一発目の一杯だが、ここはやはりE7系に乗るからにはこれしかない。「グランアグリ」というネーミングに加え、缶のデザインを見れば一目瞭然、誰がどう見ても新幹線車両を意識しているとしか思えない商品である。このビール、「わくわく手作りファーム川北」という醸造所が北陸新幹線の金沢開業とあわせて世に送り出した石川県発のバイツェンだ。なかなかの本格派バイツェンである。まずは東京出発を祝って(?)BGMに昭和フォークの名曲・BUZZの「さらばTOKYO」を聞きながらのどを潤した。
 ということで上野トンネルに入るころにはすっかりご機嫌である。ちなみに今回はJR東日本の「大人の休日倶楽部」の「北陸フリーきっぷ」という商品を利用している。東京都区内発だと22000円ちょっとで北陸フリーエリアの新幹線を含む特急自由席が乗り放題に加え、北陸エリアまでの往復新幹線普通指定席が利用できる結構な優れものだ。この切符を使えば、「花嫁のれん」のような観光列車も指定特急券さえ追加すれば乗車できるのでありがたいのである。
さてそんなご機嫌気分でぼーっとしているうちに長野に到着した。向かい側のホームには一足先に到着した「あさま」として運行してきた列車が止まっていた。あとでよく見るとF10編成のようだったが、こちらも残念ながら今回の台風で廃車となったとのことだ。あらためて台風災害の恐ろしさを実感する。
とかなんとかいっているうちにあっという間に金沢到着である。


 自分は以前名古屋で勤務していたことがあるので、新幹線開通前の金沢にはしょっちゅう出張で訪れたことがあるが、富山と合わせて駅前の変貌ぶりには全く驚かされる。こうして壮大な幾何学模様の構造物(「もてなしドーム」というらしいが、ネーミングが。。。)で覆われた駅前のバスターミナルを見ると何事か!?と思わざるを得ない。何はともあれ今宵は明日に備えて駅前のドーミーインで夜食のラーメンをすすりながら英気を養った。


あけて翌日は爽快な秋晴れであった。早速8時56分発の七尾線特急「能登かがり火1号」に乗って七尾に向かう。ここで今回の目的が「花嫁のれん」に乗るはずなのに何でいきなり?というなかれ。乗車予定は和倉温泉から金沢に向かう上りの「花嫁のれん2号」なのである。わざわざ上りに乗ることにしたのはそれなりに理由がある。それはまた後程。


さて、その問題(何が?)の「能登かがり火1号」だが、案の定ほとんど回送状態で金沢を出発した。そもそもこの列車は和倉温泉方面への新幹線接続列車なので、平日朝の一番列車は必然的に乗客は少ない。その上、6往復のうち4往復の列車が「しらさぎ」または「サンダーバード」の基本編成6連で運転しているので、いささか座席数が過剰提供されているのは否めない。附属編成3連で運転される列車以外はグリーン車も連結されている。一体利用者はどのくらいいるのだろう。
ちなみにほとんどの列車は「しらさぎ」の間合い運用だが、この「1号」は珍しく「サンダーバード」編成である。

列車は金沢を出ると途中の津端までしばらく「IRいしかわ鉄道」となった区間を快走する。七尾線は城端線、氷見線や大湊線と同様にJR本体の鉄道ネットワークから切り離された飛び地路線だ。
その上、旧北陸線であるIRいしかわ線が交流電化なのに対して直流電化区間というのだから、その「飛び地っぷり」はすごい。


途中の免田駅で上りの「能登かがり火4号」と交換する。こちらは「しらさぎ」用の6連である。この免田駅の一つ先、七尾方面の宝達駅との間にある宝達川は天井川になっているのでこの川をくぐるトンネルがある。このトンネルの断面が小さいために交流では絶縁が不十分であると判断されたために直流電化になったという、いわば七尾線電化のルーツみたいな場所である。残念ながらこの小さなトンネルは一瞬で通過してしまうのでなかなか気づきにくい。



さてその七尾線の車窓風景だが地図で見ると海に近い場所を走っているのかと思いきや、どこまでも田園風景が続く。実際にはかなり内陸部を走っており、和倉温泉まで車窓から海を見ることはない。そういう点では観光列車が走る路線としては少々平凡な風景ではある。
そうこうしているうちに列車は約50分で七尾に到着した。
七尾市のゆるキャラ「とうはくん」がホームでお出迎え
せっかく能登半島までやってきたのに海を見ずに帰るのもしゃくだ。(いやほとんどの観光客は和倉温泉で海を見るのである)和倉温泉発の「花嫁のれん」までまだ2時間以上ある。とりあえずいったん七尾で下車して七尾港まで歩いてみた。



町の中心を流れる御祓川沿いはきれいに整備されていて、景観は城下町らしい情緒にあふれている。駅から歩くこと15分ほどで七尾港の道の駅に到着する。

たまにはパノラマ写真も面白いので撮ってみた。まだ午前中だがつい荒井由実の「海を見ていた午後」が頭に流れる。昭和の男の性である。
ここから周辺の島々をめぐる遊覧船も出ているようだが、何しろこちらはただ汽車に乗ることしか関心のない馬鹿者なので潮風を感じるだけで駅まですぐにとんぼ返りである。
全く旅行風情も何もあったものではないが、そういう旅である。
七尾駅構内 切り欠きホームの「のと鉄道」乗り場側からJR側を見る
ということで目的地・和倉温泉駅まで一駅の移動である。七尾線の普通列車はすべて七尾でJRとのと鉄道で切り替わる。ということでここから1駅はのと鉄道のディーゼルカーで移動だ。
のと鉄道 NT200形車両
で、たかだか1駅乗るだけにもかかわらず、早速ここで一杯やらかす。

前述の「グランアグリ」と同じブルワリーで醸造している「金沢百万石ビール・コシヒカリエール」を七尾駅構内のセブンイレブンで手に入れた。「花嫁のれん」を意識した実に色鮮やかなデザインである。少々単価は高めだがこれはここでいただくしかないだろう。
駅舎としてはかなり立派な和倉温泉駅
駅構内で唯一華やかさを醸し出している本物(?)の「花嫁のれん」

さてそんな飲んだくれの旅もわずか5分で和倉温泉に到着して終了である。
「和倉温泉駅」と聞くとどんなに立派な観光地の駅かと思うが、実際に降り立ってみるといささか拍子抜けなほど閑散としている。駅舎こそ立派だが、今は飲食施設はおろか売店もコンビニもない。かつては最後までKIOSKの業態で営業していた売店があったようだが、近年撤退したとのことだ。とにかく列車から降りたら速攻で温泉街までバスかタクシーで移動しろ、ということなのか駅周辺で時間をつぶそうにも適当な商店がほとんど見当たらないのである。
駅前には数は少ないものの食堂が何軒かあるようだ
自分も素直に和倉温泉の温泉街まで行けばいいのだが、七尾で時間を少々費やしたので時間的に中途半端になってしまった上に温泉街まで行くバスはしばらく時間が空いている。
仕方がないので駅周辺を探訪することにして、あてもなく温泉街方向へ歩くことにした。
すると駅から歩いて5分ほどのところに何やら気になる看板を発見。

「イソライト 珪藻土記念館」とある。イソライトという聞きなれない冠が付いた「珪藻土記念館」とはなんじゃらほい?いささか興味を引き付けすぎるものがある。
早速調べてみると「イソライト」とは「イソライト工業株式会社」という耐火レンガなどのいわゆるセラミック工業製品を製造している大阪の大手企業であることが判明。何しろその会社が珪藻土を「記念」しているのだ。一体全体何を展示しているのか?これは見ない手はない。
広大なイソライト工業七尾事工場構内
この記念館はイソライト工業の七尾工場の敷地内にある。
ということで早速館内にお邪魔する。入場は無料だ。入口に小さな受付があり、年配の女性が一人で番をしておられた。平日の午前中に軽く一杯機嫌でやってきた不審な観光客にもかかわらず、節電のために消していた展示室の照明をつけて温かく迎えてくれた。平屋建てワンフロアのミニマムな建物だが思った以上に新しくきれいな展示室だ。館内には珪藻土の説明から、工業製品への応用例、イソライト工業の歴史がわかりやすく展示されている。興味深い展示にしばし時間を忘れて見入ってしまった。
能登半島をはじめとした国内の珪藻土産地についての解説
切り出して成型した状態の珪藻土 水を吹きかけるとあっという間に吸い込んでしまう
そもそも本題とは全く関係のない話だが一応ここで珪藻土とは?という話だけしておく。記念館の展示にあった説明によると、珪藻土は植物プランクトンの一種である珪藻の死骸が海や湖などの底に沈んで固まって化石になったものだそうだ。
珪藻土は小さな穴がたくさん開いているため軽量で水や空気を通すという特徴があり、その特性を生かして断熱レンガや土地改良材などに利用されている。
珪藻土を使ったピザ窯も展示してある
能登半島が古くから七輪の産地となったのも良質な珪藻土がとれたからだそうだ。ちなみに全国でもここ七尾市のほか愛知県の三河地方と香川県が3大産地だそうだ。

いやー勉強になったなぁ。ということでさらに歩みを進める。ほどなくイソライト工業の敷地が途切れたあたりで今度は小さな案内看板が目に留まった。

「第五十四代横綱 輪島大士 顕彰碑」とある。
石川県のスーパースターといえばなんといっても横綱輪島に決まっている。これは敬意を表して訪問せざるを得ないだろう。
顕彰碑は地元の中学校の敷地の一角に据えられていた。高さ3m以上はあろうかという碑はなかなかに横綱・輪島らしい迫力を感じさせる。角界引退後はいろいろとあった横綱だったが、金のまわしと「黄金の左」と呼ばれた豪快な相撲は昭和の相撲ファンには今も鮮烈な印象を残している。「稽古」のことを「練習」といってみたり、勝った相撲の直後のインタビューで神様に感謝したりと相当に破天荒な力士だったが、思えば古い考え方に基づく慣習や常識だと思われていた事柄を一つ一つ自分の考え方で打ち破ってきた革命児だったのだろう。没後も地元今もスーパースターであり続けている。

いやー、いい相撲だったなぁと輪島の相撲の思い出にひたって歩いていたら、同じ中学校の敷地に今度は「栃乃洋関」の顕彰碑という立派な石碑が現れた。
こちらは平成の力士なのでまだ記憶に新しいが、そういえば栃乃洋も七尾市の出身である。現在は年寄り・竹縄として後進の指導に当たっている。それにしても輪島と比較するといささか渋い。最高位が関脇というのも地味ではあるが輪島と同じく学生相撲からの出世力士である。文武両道という点も地元の誇りなのかもしれない。

それにしても地元の相撲愛はすごい。

さて全く本題と関係のない時間を潰したが、ここでちょうど時間となりました。
いそいそと和倉温泉駅へと戻ることにする。
一応肝心の列車の様子をご覧ください。。
というところであるが、どうでもいい話で時間を使ってしまったので本来の目的である「花嫁のれん」の話はまた次回に続く。                                   ###



2019年9月28日土曜日

【酒と鉄のバラード】日本全国「酒鉄」ビール祭り・第2部

少々間が空いたが引き続き「鉄とビール」のお話である。秋に入っても「鉄とビール」は切っても切れないのである。今回は中部地方をめぐる。

★北陸BEER・アンバーエール



「酒鉄ビール祭り」後半戦、続いて登場するのは北陸の駅売店限定のその名もずばり「北陸ビール」だ。
大阪からサンダーバードで新幹線に乗り継いだ際に偶然遭遇した商品だが、
北陸3県内の主要駅売店と北陸の一部のセブンイレブンでのみ扱っている、そういう意味でも「プレミアム」なビールだ。味わいはホップの苦みと風味がよく生きているなかなかに力強い飲み口だ。といっても重厚感はなく、軽快なのど越しはどんどんいけてしまいそうで、これまたビールの醍醐味を堪能できる王道の一杯(一缶?)だ。
醸造元は「わくわく手作りファーム川北」という地元石川県川北町の農業法人だ。このほかにも「金沢百万石ビール」のブランドで地元産のビール麦を主原料とした良質のクラフトビールを世に送り出している。
国産というだけでなく地元産にこだわったまさに「地ビール」のお手本のような醸造所だ。
鮮やかなブルーでまとめられた缶のデザインもE7系の車窓から望む白山の風景にマッチしている。北陸の酒鉄必携のビールだ。

★盛田金しゃちビール 赤味噌ラガー
キワモノご当地ビールとしてはその筋ではすっかり有名になった「赤味噌ラガー」だが、醸造元の名を冠した
「盛田金しゃちビール」というブランドネームもなかなかインパクト十分である。筆者は名古屋から新幹線に乗るときは必ずと言っていいほど名古屋高島屋の地下2階にある酒類売り場でこいつを購入して乗り込んでいる。
味わいは特に味噌っぽいわけではなく、十分にコクのあるマイルドな風味なので極めて飲みやすい方だと思う。
このビールの場合、なんといってもありがたいのは瓶ビールでもキャップがプルトップ式になっていることだ。
普通の王冠だとどうしても栓抜きが必要になるので手間だが、このタイプはやはり手軽だ。そういう自分は常に
栓抜きを持ち歩いているのだが、やはり車内で一杯やるには缶かこのタイプの瓶ビールに限る。

★HYAPPA BREWS 家康B

どうして東海地方のクラフトビールは「キワモノ」感が強いのか?これが地域性なのかよくわからないが、こちらはもう完全に「ネタ」としてネーミング勝負をしている商品といってもいい。とはいえ「家康B」はイングリッシュ・エクストラビターというちょっと珍しいタイプのかなり個性的な本格派ダークビールだ。
ちなみに「家康B」とは「イングリッシュ・エクストラ・ビター」の発音から「いえやすびー」にたどり着いたネーミングだそうで、つまり駄洒落だ。このブルワリーではこのほかケルシュの「岡崎嬢」というビールも製造しているが、とにかくネーミングに力を入れていることは確かなようだ。
製造しているのは東岡崎駅近くにあるパブレストラン「Izakaya Ja Nai!!」(「いざかやじゃない」と読む。じゃあ何だ?)のアメリカ人オーナーだそうで、醸造所の名前も「HYAPPA BREWS(ヒャッパ ブリュース)」となかなかに日本人のセンスでは到達しないユーモアの世界だ。
どちらかといえば車内でいただいているときに、飲んでいる姿を見られる以上にこのラベルの文字を読まれる方が恥ずかしいかも。とはいえガラ空きの313系新快速のシートでこいつを一杯やると天下とった気分になれるのである。(本当?)
ちなみにこちらのブルワリーの商品はいずれも「王冠」ガラス瓶スタイル。栓抜き必須です。

★御殿場高原ビール
第一部でも登場した「時之栖」が自信をもって(?)世に送り出しているメインブランド「御殿場高原ビール」が満を持して登場。個人的には、芸術的かつインパクトのある赤富士のイラストが気に入っている。車窓に置いた時の缶と風景(できれば本物の富士山をバックに)のマッチングがイカしていると思う。加えてここの配色にちょっと東急電車っぽい雰囲気を感じるのは自分だけか?ちなみにこちらは苦みを抑えたピルスタイプなので、旅の途中の一杯には好適品だ。
この調子でいくとまだまだキリがないので今回はここで一段落することにするが、いささか飲み過ぎの感があるので今回は「オールフリー」をやりながらOASISの「WHATEVER」ですっきりと寝ることにする。                      ###


2019年8月17日土曜日

【酒と鉄のバラード】日本全国「酒鉄」ビール祭り・第1部

そもそも「馬鹿列車」はいい音楽を聴きつついい酒を飲みながら鉄道に乗ることが目的である。そこで今回はバカンスシーズン(昭和な表現だ)真っ只中の今、これまで車内で堪能してきた全国各地のおすすめ「この一本」をプレイバックしてみようと思う。
まずは車内でいただくには最も手軽な「ビール」編である。

★グランクラスの「プレミアム・モルツ」★@東北新幹線


まずは「清水の舞台から飛び降りる」決意で乗ったグランクラスでの一コマだ。
グランクラスで提供されるビールは「プレミアムモルツ」や「エビス」といったプレミアムビールだが銘柄は指定できない。今は販売が終了している「アサヒドライプレミアム」(「豊穣」ではない方)が提供されることもあったようで、その時々で銘柄は違うようだ。ただし乗車したのは2014年だったので今は違うかもしれない。
自分は車内や自宅に限らずこの写真のように缶からグラスに注ぐなどという気取った飲み方(いやこの方が正式だ。)は基本的にしないが、グランクラスのロゴの入ったガラスのコップでいただくモルツはやはり特別だった。航空機のファーストクラスに比べればまだどうにか手が届く贅沢だ。

続いてサントリーに抜かれ今や業界第4位に甘んじているが、数々の個性派ビールを提供している「サッポロ3部作」をご紹介。


★静岡限定ビール 静岡麦酒★@東海道線



まずは静岡県内でのみ発売されている「静岡麦酒」。サッポロビール静岡工場で醸造された静岡県内限定販売のご当地ビールだ。静岡県を列車で移動する際には必ず車窓のお供として愛飲している。
麦芽100%、やや酸味がきいたすっきり感の強い味わいは静岡県民の嗜好に合わせたとのこと。静岡県民への嗜好・イメージ調査をもとに試作品のアンケート調査も徹底して商品化したという、これぞ静岡による静岡のためのビール。
当然ながら東海道線車内で味わってみたいが、残念ながら新幹線で楽しむためには途中静岡県内の駅でいったん下車してゲットするしかない。
ただし限定販売とはいえ静岡県内ならコンビニでも手に入るので、東京からであれば熱海駅まで行けば購入可能。
東海道線普通列車のグリーン車で三島コロッケを肴にちょいと贅沢に楽しんでみたい。

★新潟限定ビイル 風味爽快ニシテ★@羽越線

キハ47の窓辺にギリギリのっている
よいこは真似をしないでいただきたい
少々名前が長いがこれが正式名称。こちらもサッポロビールの地域限定銘柄だが、サッポロは新潟地区に工場を持っていないので地元醸造というわけではない。ただし静岡麦酒と同様に、新潟県の食文化に合うように製品開発したとのこと。
ただし新潟といえば米どころだが、こちらも米は一切使用せず麦芽100%。静岡麦酒よりはホップの香りがより引き立つ感じ。
苦みも適度で味わいとしては北海道を代表する、というより日本を代表するご当地ビール、サッポロクラシックに近い。日本海縦貫線の車窓を楽しみながら味わいたい。

★サッポロクラシックシリーズ★@北海道内各線

宗谷本線の車窓をバックに「クラシック」の思い出をスナップ
ということで「サッポロクラシック」の登場だ。地域限定ビールのパイオニアといっても良い、今や全国ビール党憧れ(?)のローカル限定ビール。実は季節ごとに限定醸造品が登場しており、春にはグリーンのパッケージが特徴の「春の薫り」が、秋には富良野産のホップを使用した「サッポロクラシック 富良野VINTAGE」という商品が毎年季節限定で発売されている。今夏にはロイヤルブルーのデザインもさわやかなその名も「夏の爽快」という商品も新しく登場した。
ちなみにオリジナルの「サッポロクラシック」はここ数年、毎年夏の一時期のみJR東日本のコンビニ「NEWDAYS」の北海道フェアの一環で首都圏の各店でも入手できるようになった。自分もこの時期はわきめも触れず購入して列車に乗り込んでいる。ことしも8月初旬までの発売だったようだが、ちょっと客足の少ない店舗に行くとロング缶だけはフェア後も購入できた。北海道在住時は日頃使いのビールとして飽きるほど飲んでいたが、今思えばやはり深い味わいは簡単に飽きることがない。
「クラシック」といえば自分にとっては旅の車窓とは切っても切れない関係だ。たった一度だけ乗った「北斗星」の食堂車グランシャリオのパブタイムで飲んだ瓶入りのクラシックも、数えきれないほど乗った「スーパーカムイ」の車内で飲んだ350mm缶のクラシックの味わいも忘れられない旅の思い出になっている。 
2019年版「春の薫り」

★上越線ビール「C6120 PILSNER」「D51498 BLACK」★@高崎線

ピルスナーのC61 褐色に見えるのはボトルのラベルの色による

ブラックのD51 どちらもペットボトル入りという異色ビール
「上越線ビール」という「呑み鉄」をはじめ「鉄」をターゲットにしたあまりにもベタなネーミングのローカルクラフトビール。一瞬「こりゃキワモノかっ?」と思ってしまうが醸造元は地元群馬はみなかみ町のクラフトビールメーカーの雄「月夜野ビール」なので、その味わいはしっかり「本物」だ。ピルスナーはやや軽めながら「C61のスピード感を表現した切れのある味」とのことで、うーんなるほどわかったようなわからんような。。一方のブラックはそのものずばりD51の重厚感を表現した強めでコクのある味わいが特徴ということだが、コクの強さはスタウトとしてはスッキリしており上越線のD51というよりは八高線のC58レベルの軽快感だ。(ほんまか?)
ビールでは珍しいペットボトル入り(500mm)の商品が高崎駅構内の「NEWDAYS」など群馬県内のコンビニや土産物店で購入できる。

★伊豆の国ビール★@東海道新幹線


今回静岡ビール2度目の登場である。伊豆の国市にある観光施設を運営している「時之栖」という会社が製造しているいわゆる「地ビール」だが、もともと「御殿場高原ビール」を製造しているのも同じ会社だそうだ。
こちらの「伊豆の国ビール」は本格的なヨーロッパスタイルのビールにこだわっているそうで、原料もドイツなどヨーロッパ産のものを使用しているとのこと。このえんじ色の缶は「ピルスナー」だが、華やかな香りとともに軽快な飲み口でついグイグイいってしまいそうになる。実は先日の「馬鹿鉄旅」の際も結果的に「静岡麦酒」の350mm缶とチャンポンでグイグイいってしまった。
新幹線車内で「静岡ビール2大巨頭」揃い踏み
さて思い出の一杯の車窓を回顧していたらそろそろ今宵の一杯が恋しくなってきた。今夜の一曲はパット・メセニーの「Last Train Home」にすることにしよう。
ということで次回「地元ビール選手権」第2部に続く。

2019年7月25日木曜日

大阪環状線考 【その4・完結編 鶴橋♪ええとこだっせ】

ズルズルと旅をしてきた大阪環状線 ついに最後は環状線のメインストリーム・東半分を乗りつくす


 大阪環状線を知りつくす旅、最後は最も利用者が多いとされる鶴橋・京橋方面へと向かう。環状線内回りの列車は主に11・12番線から発車するが、天王寺から内回り方向に向かう列車は、 全て「普通 鶴橋方面」と表示されている。
次の発車は11番線に止まっていたのは221系の普通列車だが、実際は大和路快速・加茂行きだ。ここで「加茂行き」と表示してしまうと大和路線方面の列車と勘違いして大阪を一周してしまう人が出かねない為の配慮だ。しばらく発着を見ていると外回りを一周してきた列車が結構な頻度でここで折り返すのがよくわかる。ちなみにこの大和路快速は14番線についた後、一旦引き上げ線に向かい、その後方向を変えて11番線に入線してくる。東京で言えば上野駅や品川駅のようなターミナルだが、こちらはなかなかに複雑な運用を行っている。

またすべての列車は環状線の東側を各駅停車として運転する。そんな運用を行っているので、環状線内回り方向の始発列車となるこの大和路快速は「普通・大阪環状線」という表記を出して天王寺を出発し、次の寺田町駅の手前で本来の「大和路快速・加茂行き」の表示に変わる。何かと面倒だが致し方ないところだ。



よく知られている通り、大阪環状線は鶴橋・京橋を通る旧城東線である東側の方が利用客が多い。その理由の一つは鶴橋・京橋という私鉄との乗換駅があることによる。今回はこのうち近鉄との乗換駅である鶴橋を観察することにした。
秋葉原駅を彷彿とさせる鶴橋駅の佇まい 何となく懐かしい雰囲気を感じる
 鶴橋は内回り・外回りどちらのホームも近鉄線と改札一つで乗り換えができる構造になっている。ホームの幅も大変広く、開放的だ。ホームの雰囲気は山手線・京浜東北線の乗換駅になっている秋葉原駅の総武線ホームによく似ている。



というのもこちらも近鉄線と直交する形で交差しているからだ。乗り換え改札はホームのほぼ中央にあり、乗り換え専用となっている。ずらりと並んだ自動改札機が壮観だ。訪問したのは休日の日中だったので閑散としているが、ラッシュ時はさぞがし大変な混雑になるのだろう。
ところで環状線の各駅をよく観察すると、基本的に「黒」を基調としたシックなデザインを施していることがわかる。特に駅名表示以外にも黒一色に塗られた鋼材部分が特徴が特徴的だ。くだんの「大阪環状線改造プロジェクト」の一環で各駅のリニューアルがこのようなデザインで進行している。
個人的には庶民的な「大阪・浪速」のイメージとは少々異なるが、都会的でスマートなデザインはレトロなホームの構造と絶妙なミスマッチを形作っていて、なかなかのセンスの良さが光る。あくまでも個人的な感想ですが。
特にこの鶴橋駅の上屋を支えている鋼製の柱は、リベット打ちで下に行くほど細くなっている平板なエンタシスのような独特のデザインが目を引く。

それにしてもこの不思議な形の柱はいったい何だろう?台座の部分は巨大な六角ボルトで固定されており、柱本体はカーブしている。どう見ても可動構造になっているように見える。まるでチャップリンのモダンタイムスに出てくる工場の機械の一部みたいだ。
見ようによってはなんだか前衛彫刻的でもある。改めてよく見てみると柱の外側の部分は、頭部の形状がかなり平らになっているがどうやらレールらしい。一本のレールをまげて中央の鉄板部分を挟んでいるのではないかと推測される。
つまり廃レールを使った廃品利用の柱らしい。これはいよいよ前衛芸術そのものではなかろうか。廃レールを使った上屋はよくあるが、このタイプは関東の駅では見かけた記憶がない。このように環状線の旅は発見の連続だ。全く飽きることがない。

ホーム上で次々に発着する列車を眺めていると、下車した人たちのほとんどが近鉄線の乗り換え改札に向かっているように見える。
2017年の乗車人数でみると、近鉄鶴橋駅は1日平均約87000人でJR側が約99000人となっている。ちなみに大阪メトロの鶴橋駅は約15000人という。
鶴橋駅周辺は国内有数のコリアンタウンとして有名だが、当然ながら実際に鶴橋駅で改札を出入りする人たちがそれほど多いわけはないので、相当数が相互の乗り換え駅として利用していることがわかる。
環状線の東側はこのほかにも京橋という一大乗換ターミナルがある。


実際にこの区間の転換クロスシート車に乗ると、車内の混雑は結構こたえる。こういう点で乗りなれたロングシートは使いやすい。
実際に乗ってみると確かに西側よりも乗車人員が多いのも当然だと改めて実感した。
さて前述のとおり、鶴橋駅周辺は焼肉店が多く、ホームに降り立つだけで焼肉のにおいがしている。
実際に鶴橋を訪れる前までは、「そんなの都市伝説だろう」と思っていたが実際に駅に降り立った時は思わず笑ってしまいそうになった。
毎日この焼肉の香りに包まれて通勤通学している人たちがいるんだなぁ、と変なことに感心する。「京橋は ええとこだっせ」という大阪を代表する名CMがあるが、鶴橋も負けじと「ええとこ」だった。
列車が去った後は驚くほどの静寂が訪れる
さて半日かけて乗りつぶした環状線の旅だが、焼肉のにおいに負けてこの辺でクラフトビールが恋しくなってしまった。そろそろ最後の区間を乗りつぶして環状線を一周した。
空いていればいたって快適な快速電車だが立ち客が増えたら乗降は大変だ
ということで最後はNRBQのLittle Floaterをガンガン聴きながら大阪にもどり、大阪メトロで難波に繰り出した。ここからは全く「鉄」とは無関係な酒の時間だ。
「道頓堀クラフトビア醸造所」カウンター席の横にコンパクトなタップが並ぶ
この夜はなんばCITYにある「道頓堀クラフトビア醸造所」で串揚げを肴に大阪限定ビールのグラスを傾けながら、次は「大阪メトロ考」でもやるか、と思索を巡らせたのであった。(了)