まず乗り込んだ列車は「とき311号」、新潟までの途中停車駅は大宮だけという最速達列車だ。安っぽい表現で恐縮だが、これぞ「とき」の中の「とき」、正に「キング・オブ・とき」である。昔でいえば「超特急」あるいは「最大急行」といったところか。案内表示板の停車駅欄がスッカスカで「何か問題でも起こったのかっ!?」と錯覚しそうになる。これだけ見てもいかにも速そうだ。
我ながらこのあとの旅のスケジュールとくらべてメリハリがすごい。
「とき311号」は上越新幹線のフラッグシップといってもいい列車だが、使用されているのは今やE3系共々JR東日本の新幹線車両としては最古参になってしまったE2系のJ編成だ。余談だが自分は仕事の関係で、長野新幹線の試運転列車に乗車したことがあるので、E2系には特別の愛着がある。残念ながら開業当時から頑張ってきた8両編成のN編成はすでに全車引退したそうだが、E7系に伍してこうして上越新幹線の主力選手として活躍しているのを見ると何だかほっとする。
実はこの「とき311号」から「いなほ3号」に乗り継げば、終点の酒田には13時過ぎに到着する。所要時間は3時間52分、わずかに4時間を切る。YAHOOの乗り換え検索で調べた上では、ほぼ同じ時刻に酒田駅に到着すると思われる全日空395便を利用した場合と比べると、東京駅を起点にすれば空港での搭乗手続きなどを考慮して、所要時間の差は50分強といったところだ。
この差をどう考えるかは人によるが、手荷物の扱いなど搭乗手続きの手間や鉄道の手軽さを考えた場合、さらにはそもそも飛行機が苦手の人にとっては十分選択肢に入るのではないか。
大体鉄道なら基本的に「機材繰りで運休」も「目的地の天候不良で出発地に逆戻り」もまず無い上に、(まだ国内には導入されていないとはいえ)「MCASの不具合」とやらで操縦不能になることも間違いなく無い。やはり地上を走って移動するのは気分的に楽だ。
ちなみに逆コースとなる上り方面では、酒田を6時45分に出る「いなほ4号」に乗ると、これまた1日1本しかない上りの最速達列車の「とき312号」への乗り継ぎで、東京までの所要時間は3時間58分と時間的には微増となるが、こちらは庄内空港発第1便の全日空396便を使った場合との差はわずかに9分しかない。
となると、ここにきて「とき311号」と「とき312号」が最速列車である存在感が光ってくるのである。新幹線沿線ではない地方都市であっても、高速で利便性の高い交通手段として、まだまだ鉄道も頑張っているのである。引き続き羽越線の高速化計画もあると聞く。条件は厳しいとはいえ、こうした細かな戦略を巡らせていけば、路線を縮小することだけに躍起になっているかのようなJR北海道でもまだ勝機はあるのではないかと思った。頑張ってもらいたいものだ。
さて本題に戻り、いよいよ普通列車の旅の始まりである。まだ工事箇所が残るものの、新装なったピカピカの在来線コンコースから白新線村上行き933Mの待つ3番線へと上がる。
普通列車の旅のトップバッターは、最新鋭のE129系である。旧型車両を続々と淘汰しつつある新潟地区のエースだ。地元・総合車両製作所新津事業所製なので、言うなれば「地電車(じでんしゃ)」である。勝手に言ってみたが音だけ聴くと「自転車」みたいだな。。
E129系には2両編成と4両編成があるそうだが、この列車は4両編成のいわゆるB編成だ。
実は「ロングシートの旅」と銘打ったものの、実は初日の全行程のうち約半分の酒田まではしっかり「クロスシートの旅」が約束されている。ありがたや。
今となっては懐かしさも感じるE2の面構えはムーミンのようでちょいとかわいい |
7号車指定席をのぞく |
さてこの最速列車、乗車率はどんなものかと車内をちょいと調査したところ、普通指定席で5割、グリーン車で3割程度の座席が埋まっているといった感じだった。自由席車は調査しなかったので推測に過ぎないが、全体の乗車率は6〜7割ぐらいではないかと思われる。やはり途中停車タイプの列車ほど利用者が多いことが推認できる。「こだま」の混み具合がハンパないのと基本的には同じようだ。
というわけであっという間に新潟に到着である。10時49分着で所要時間はわずかに1時間37分、これは速い。しかしながら特に急ぐ必要もない自分にしてみれば「もっとゆっくり乗っていたい」という気にもなってくる。全くわがまま言い放題である。なぜならこの先乗り継ぐ白新線の村上行き普通列車は11時41分発となんと1時間近くも待ち時間がある。1本後の「とき313号」に乗っても何の問題もなかったのであるが、そこは「現場百回」の精神で最速列車の乗車体験をしたかったという自己都合だ。おかげでこの後なかなか良い勉強になった。
ところで自分は新潟には5年前に出張で訪れて以来なので、駅の変貌ぶりに驚いた。在来線の高架化第1期工事が終わり、現在は新幹線から在来線へ上下移動することなく同じホームで乗り継ぎできるようになっている。かつての新八代と同じスタイルだ。「とき311号」の場合、到着すると両側のドアが開くのだが、進行方向右側のホームは通常の降車ホーム、左側の乗り継ぎ専用ホームに降りると目の前に酒田行きの「いなほ3号」が止まっている。在来線乗り継ぎ専用改札を抜ければすぐ列車に乗り込めるという趣向である。
この日は降車した乗客の3〜4割ぐらいが「いなほ」に乗り継いでいたのではないかと思う。
衝撃のショッキングピンク「いなほ3号」酒田行き JR九州のレッドトレインに引けを取らない派手さが目を引く |
この差をどう考えるかは人によるが、手荷物の扱いなど搭乗手続きの手間や鉄道の手軽さを考えた場合、さらにはそもそも飛行機が苦手の人にとっては十分選択肢に入るのではないか。
大体鉄道なら基本的に「機材繰りで運休」も「目的地の天候不良で出発地に逆戻り」もまず無い上に、(まだ国内には導入されていないとはいえ)「MCASの不具合」とやらで操縦不能になることも間違いなく無い。やはり地上を走って移動するのは気分的に楽だ。
ちなみに逆コースとなる上り方面では、酒田を6時45分に出る「いなほ4号」に乗ると、これまた1日1本しかない上りの最速達列車の「とき312号」への乗り継ぎで、東京までの所要時間は3時間58分と時間的には微増となるが、こちらは庄内空港発第1便の全日空396便を使った場合との差はわずかに9分しかない。
となると、ここにきて「とき311号」と「とき312号」が最速列車である存在感が光ってくるのである。新幹線沿線ではない地方都市であっても、高速で利便性の高い交通手段として、まだまだ鉄道も頑張っているのである。引き続き羽越線の高速化計画もあると聞く。条件は厳しいとはいえ、こうした細かな戦略を巡らせていけば、路線を縮小することだけに躍起になっているかのようなJR北海道でもまだ勝機はあるのではないかと思った。頑張ってもらいたいものだ。
さて本題に戻り、いよいよ普通列車の旅の始まりである。まだ工事箇所が残るものの、新装なったピカピカの在来線コンコースから白新線村上行き933Mの待つ3番線へと上がる。
普通列車の旅のトップバッターは、最新鋭のE129系である。旧型車両を続々と淘汰しつつある新潟地区のエースだ。地元・総合車両製作所新津事業所製なので、言うなれば「地電車(じでんしゃ)」である。勝手に言ってみたが音だけ聴くと「自転車」みたいだな。。
E129系には2両編成と4両編成があるそうだが、この列車は4両編成のいわゆるB編成だ。
実は「ロングシートの旅」と銘打ったものの、実は初日の全行程のうち約半分の酒田まではしっかり「クロスシートの旅」が約束されている。ありがたや。
E129系の車内は中央の扉を境にセミクロスシートとロングシートが半分ずつ配置されている。2両編成の場合、運転席寄りがロング、連結面よりがセミクロスとなる。一部の701系やJR四国の7000系のように、ロングシートの向かい側がクロスシートといったどうにも落ち着かない点対称式のレイアウトでないところがこれまたありがたい。
おまけにこのシート、完成度が高く快適だ。基本的にE233などとほぼ同じ構造だが、背もたれの角度や座面の硬さも長距離移動に十分対応できそうだ。そして何と言っても十分余裕をとったシートピッチは特筆ものだ。E231,233系よりも明らかに広い。これなら4人で利用していてもストレスなく乗降できそうだ。後で調べたところロングシート側も1人分の幅が広くとられているそうだ。
さすがに通勤型の電車の中で「駅弁買って車内でまったり」といった行為は気が引けたので今回は遠慮したが、これなら軽食程度であれば十分車内でとることは可能だろう。もちろん他の乗客の迷惑にならないよう基本的なマナーは守っていただきたいが。
この933M列車は正午を挟んだ時間帯の運行だが、この日は沿線の学校に通っていると思われる学生や生徒の利用が多かった。新年度が始まったばかりということなのか、普段の登下校とは違うと思われる時間帯での通学利用者が目立った。
全体の着席率でいうと5割程度だったが、途中駅での乗客の入れ替わりが多く、ほとんどのクロスシートは1〜2人で利用できるようだった。村上までの1時間10分だけの乗車というのが少々残念だが、おかげでなかなか快適な普通列車の旅のキックオフとなった。
ニュータウンの様相を見せる西新発田駅周辺 利用者も多く駅前の開発が進んでいる様子がうかがえる |
ということでウィリー・ネルソンの名曲「On The Road Again」と地元・酒処新潟の銘酒「吉乃川」スパーリングを旅の友に新潟を後にし、一路秋田を目指したのである。
なんだかんだ言っても結局車内で呑んでいるのである。。